日時・場所
2013年11月18日(月)〜11月19日(火)
岡崎コンファレンスセンター・大会議室
開催趣旨
分子研研究会【ロドプシン研究の故きを温ねて新しきを知る】
光で細胞や個体の運動や生理機能を操作する技術であるオプトジェネティクス(光遺伝学)は、神経生物学や細胞生物学の有力なツールとしての地位を確立しつつある。一方で、操作の際に主役となる「ロドプシン」を、オプトジェネティクスを通じて知った人も多いのではないだろうか。ロドプシン研究の歴史は古く、動物のロドプシンは19世紀末、微生物のロドプシンは1971年にまでさかのぼる。ロドプシンは視覚・センシング・エネルギー変換という、重要な生理機能を担うというだけでなく、さまざまな新奇実験手法の実用テストの場として用いられてきたことから、常に最新の実験手法を用いて研究され、これまでに膨大な分子科学的な知見が蓄積されている。2012年のノーベル化学賞は、G蛋白質共役型受容体研究のパイオニアであるLefkowitz氏とKobilka氏に授与されたが、彼らの研究を時系列でみていくと、実は多くの場合、ロドプシン研究の方が先行し、多くの示唆を与えていたということがわかる。人々の耳目を集める成果の陰には、多くの基礎研究があることを忘れることはできない。本研究会では、ロドプシンの地道な基礎研究からその結実と言える応用研究まで、これまでのロドプシン研究をさまざまな方向から見つめなおし、未来への展開を議論したい。
問い合わせ先
提案代表者 所内対応者 |
今元 泰 古谷 祐詞 |
京都大学大学院理学研究科 (imamoto(at)rh.biophys.kyoto-u.ac.jp) 生命・錯体分子科学研究領域 |
プログラム
2013年11月18日(月)
13:00 - 13:05 |
はじめに 今元 泰(京都大学) |
I. 生物の多彩な光受容 座長:菊川峰志(北海道大学)
13:05 - 13:25 | 井上圭一(名古屋工業大学大学院工学研究科) 光駆動ナトリウムポンプの発見と展開 |
13:25 - 13:50 | 岡野俊行(早稲田大学理工学術院) 青色光による遺伝子発現の制御と青色光受容分子の解析 |
13:50 - 14:10 | 山崎洋一(奈良先端科学技術大学院大学) PYPの分光学的性質の多様性獲得機構 |
14:10 - 14:30 |
斉藤圭亮(大阪大学大学院理学研究科) ロドプシンの機能に違いを生み出す水素結合強度の違い |
II. 細胞の光応答の分子基盤 座長:佐藤恵太(京都大学)
14:50 - 15:10 | 小島大輔(東京大学大学院理学系研究科) 動物の背地適応を制御する光受容分子の探索 |
15:10 - 15:35 | 寺北明久(大阪市立大学大学院理学研究科) 松果体関連器官の波長識別の分子基盤 |
15:35 - 15:55 | 佐藤慎哉(大阪大学大学院理学研究科) コイ錐体での視物質再生に関与する11-シスレチナール生成反応、AL-OL反応の解析 |
15:55 - 16:05 | 集合写真 |
16:05 - 18:00 | ポスター発表 |
18:00 - 20:00 | 懇親会 |
2013年11月19日(火)
III. レチナール蛋白質の光構造変化 座長:筒井 圭(京都大学)
9:00 - 9:20 | 古谷祐詞(分子科学研究所) 微生物型ロドプシンから様々な膜タンパク質研究へ−時間分解フーリエ変換赤外分光法による構造変化解析− |
9:20 - 9:40 | 今元 泰(京都大学大学院理学研究科) 構造ダイナミクスからみたロドプシンの活性化機構 |
9:40 - 10:05 | 内藤 晶(横浜国立大学大学院工学研究院) 光照射固体NMRによる光受容膜タンパク質の活性中間体の捕捉と構造変化の解明 |
IV. レチナール蛋白質研究の新規アプローチ 座長:片山耕大(名古屋工業大学)
10:25 - 10:45 | 神谷基司(京都大学大学院理学研究科) レチナールの化学 |
10:45 - 11:10 | 水谷泰久(大阪大学大学院理学研究科) ロドプシン研究に共鳴ラマン分光学が寄与したもの、そしてこれから |
11:10 - 11:35 | 田原太平(理化学研究所) 光受容蛋白質のフェムト秒ダイナミクスの観測と理解 |
11:35 - 11:55 | 川村 出(横浜国立大学大学院工学研究院) 固体MAS NMRによるフォボロドプシンのレチナール-タンパク質間相互作用の解析 |
〜昼食〜
V. レチナール蛋白質とG蛋白質共役型受容体の多様性 座長:石北 央(大阪大学)
13:00 - 13:20 | 山下高廣(京都大学大学院理学研究科) 脊椎動物非視覚オプシンOpn5グループの多様な分子特性 |
13:20 - 13:40 | 今井啓雄(京都大学霊長類研究所) 霊長類味覚受容体の機能解析 |
13:40 - 14:05 | 神山 勉(名古屋大学大学院理学研究科) 古細菌型ロドプシンの構造比較 |
VI. レチナール蛋白質研究の将来にむけて 座長:和田昭盛(神戸薬科大学)
14:25 - 14:50 | 山中章弘(名古屋大学環境医学研究所) ロドプシンを用いて神経活動を操作し、個体行動を制御する |
14:50 - 15:10 | 須藤雄気(名古屋大学大学院理学研究科) 微生物型レチナールタンパク質の非常識で未来を拓く |
15:10 - 15:35 | 神取秀樹(名古屋工業大学大学院工学研究科) ロドプシン研究の現状と我々のアプローチ |
15:35 - 16:00 | 七田芳則(京都大学大学院理学研究科) 脊椎動物ロドプシンの分子構築を自然から学ぶ |
16:00 - 16:05 |
おわりに 古谷祐詞(分子研) |
ポスター発表
P-1 | 霊長類色覚視物質の変異体に対する赤外分光研究 ○片山耕大1、川田大輝1、今井啓雄2、和田昭盛3、神取秀樹1(1名工大・院工、2京大・霊長研、3神戸薬科大・生命有機化学) |
P-2 | 生理的温度条件下における高度好熱菌由来ロドプシン・TRの物性に関する研究 ○塚本 卓1、須藤雄気1,2(1名大・院理、2分子研) |
P-3 | チャネルロドプシンの活性中心における水素結合ネットワーク ○伊藤奨太1、加藤英明2、谷口怜哉2、岩田達也1、濡木 理2、神取秀樹1(1名工大・院工、2東大・院理) |
P-4 | 大腸菌におけるチャネルロドプシン1の発現 ○森安梨沙1、塚本 卓1、谷ヶ崎仁1、本間道夫1、井原邦夫2、須藤雄気1, 3(1名大・院理、2名大・遺伝子実験施設、3JST-CREST) |
P-5 | 光駆動型ナトリウムポンプの低温赤外分光測定 ○大野 光1、井上圭一1,2、吉住 玲1、神取秀樹1(1名工大・院工、2 JST さきがけ) |
P-6 | ファラオニスハロロドプシンの光反応サイクルの解析 ○菊川峰志1、日下部力1、小久保麻実1、塚本 卓1,2、井原邦夫3、加茂直樹1、出村 誠1(1北大・院先端生命、2名大・院理、2名大・遺伝子) |
P-7 | プロテオロドプシンの色を決めるアミノ酸 ○尾崎裕哉、川島崇睦、吉住 玲、神取秀樹(名工大・院工) |
P-8 | 内モンゴルエジノル塩湖から単離されたhalorubrum属菌の持つロドプシン類タンパク質 ○潮洛蒙1、代鋼2、菊川峰志3、岩佐達郎1(1室蘭工大院・創成機能工学、2内モンゴル師範大・化学環境学院、3北大・先端生命院) |
P-9 | ナノディスクを用いたセンサリーロドプシンIの光反応ダイナミクスの研究 ○川本健一1、井上圭一1,2、佐々木 純1、谷ヶ崎 仁3、本間道夫3、須藤雄気3, 4, 5、神取秀樹1(1名工大・院工、2JST さきがけ、3名大・院理、4分子研、5JST CREST) |
P-10 | Molecular properties of mouse melanopsin ○Take Matsuyama, Yamashita Takahiro, Yasushi Imamoto, Yoshinori Shichida(Kyoto University, Graduate School of Science) |
P-11 | GsおよびGqの光制御に向けた新規キメラタンパク質のデザイン ○吉田一帆1、井上圭一1,2、山下高廣3、吉住 玲1、佐々木賢吾1、七田芳則3、神取秀樹1(1名工大・院工、2JSTさきがけ、3京大・院理) |
P-12 | TMTオプシンの光反応解析 ○酒井佳寿美、山下高廣、今元 泰、七田芳則(京大・院理) |
P-13 | 錐体視物質グループ間におけるリン酸化効率の比較 ○筒井 圭1,2、橘木修志1、松川淑恵1、七田芳則3、河村 悟1(1阪大・生命機能、2現・京大・霊長研、3京大・院理) |
P-14 | Opn5様タンパク質が示す新しい反応 ○佐藤恵太1、山下高廣1、大内淑代2、友成さゆり3、柳林(藤田)彩理1、酒井佳寿美1、竹内敦子4、今元 泰1、野地澄晴3、和田昭盛4、七田芳則1(1京大・院理、2岡山大・院医歯薬、3徳島大・ソシオテクノサイエンス、4神戸薬大) |
P-15 | In situ光照射固体NMRによる光受容膜タンパク質ppR/pHtrII複合体の光反応過程の解析 ○槙野義輝1、友永雄也1、柴藤祐介1、日高徹朗1、川村 出1、沖津貴志2、和田昭盛2、須藤雄気3、加茂直樹4、内藤 晶1(1横浜国大・院工、2神戸薬大、3名古屋大・院理、4北海道大・院生命理) |
P-16 | Gタンパク質共役型受容体の構成的活性変異体に見られるGタンパク質活性化メカニズムの一分子解析 ○前田 亮1、廣島通夫2, 3、今元 泰1、佐甲靖志2、七田芳則1(1京大・院理、2理研・佐甲細胞情報研究室、3理研・生命システム研究センター) |
P-17 | 光照射固体NMRを用いたバクテリオロドプシンの光励起過程における局所構造変化の解析 ○重田安里寿1, 宮佐亮太1, 堀籠美也子1, 川村 出1, 沖津貴志2, 和田昭盛2, 辻 暁3, 内藤 晶1(1横浜国大・院・工、2神戸薬大、3兵庫県立大・院・理) |
P-18 | ホヤオプシン1(Ci-opsin1)の分子特性の解析 ○小島慧一1、山下高廣1、今元 泰1、津田基之2、日下部岳広3、七田芳則1(1京大・院理、2兵庫県立大・院生命理学、3甲南大・理工) |
P-19 | 共鳴ラマン分光法によるハロロドプシン光反応中間体の実時間観測 ○水野 操1、下尾祐未1、神取秀樹2、水谷泰久1(1阪大・院理、2名工大・院工) |
P-20 | 光誘起赤外差分光法によるチャネルロドプシン2とキメラチャネルロドプシンの構造変化の比較解析 稲熊あすみ1、塚本寿夫1、木村哲就1,2、石塚 徹2,3、八尾 ェ2,3、○古谷祐詞1,4(1分子研、2CREST、3東北大院・生命科学、4さきがけ) |
P-21 | グロイオバクターロドプシンの光サイクル中間体の可視共鳴ラマンスペクトル観測 ○中嶋亜侑美1、水野 操1、神取秀樹2、水谷泰久1(1阪大院理、2名工大院工) |
P-22 | 哺乳類メラノプシンが持つ分子特性 ○塚本寿夫1、David Farrens2、久保義弘3、小柳光正4、寺北明久4、古谷祐詞1(1分子科学研究所、2Oregon Health & Science University、3生理学研究所、4大阪市立大学) |
P-23 | キメラ変異体を用いたPYPの光反応中間体の解析 ○松本芳晃、山崎洋一、上久保裕生、山口真理子、片岡幹雄(奈良先端大・物質) |
P-24 | 時間分解フーリエ変換赤外分光計測によるファラオニス・ハロロドプシンのイオン輸送機構の解析 ○藤原邦代1、木村哲就1,2、菊川峰志3、出村 誠3、神取秀樹4、古谷祐詞1,5(1分子研、2JST CREST、3北大・院生命科学、4名工大・院工、5JST PRESTO) |
P-25 | 水溶液中におけるPYPM中間体のアルギニン52のプロトン化状態 ○野路将義、上久保裕生、山崎洋一、山口真理子、片岡幹雄(奈良先端大・物質) |
P-26 | 高角領域のX線散乱によるロドプシンの構造変化の解析 ○今元 泰1、岡 俊彦2、小島慧一1、前田 亮1、七田芳則1(1京都大・院理、2静岡大・院理) |
P-27 | Crystal structure of cruxrhodopsin-3 form Haloarcula vallismortis ○Siu Kit Chan1, Tomomi Kitajima1, Ryudoh Fujii1, Midori Murakami1, Kunio Ihara2 and Tsutomu Kouyama1(1Dept. Phys., Grad. Sch. Sci., Nagoya Univ., 2Center for the Gene Research, Nagoya Univ.) |
P-28 | ハロロドプシンのNおよびO中間体の構造解析 川口春樹1、中西太市1、久保宏樹1、井原邦夫2、村上 緑1、神山 勉1(1名古屋大学理学研究科物質理学物理系、2名古屋大学遺伝子実験施設) |
関連する学会・シンポジウム
第 51 回日本生物物理学会年会
シンポジウム 2SAP「ロドプシン研究の過去・現在・未来」
2013年10月29日(火)(年会2日目)16:30〜18:45
京都国際会議場、A会場(Room B-2)
オーガナイザー:神取 秀樹(名工大)・寺北 明久(大阪市大)
ポスターはこちら
第16回レチナール蛋白質国際会議
2014年10月5日(日)〜10月9日(木)
長浜ロイヤルホテル(滋賀県長浜市)
オーガナイザー:七田 芳則(京大)