哺乳類の眼においての光情報伝達

光受容細胞


哺乳類の眼には光受容に特化した桿体視物質(Rod)と錐体視物質(Cone)とよばれる視細胞が存在する。桿体視物質は薄明かりでの光受容を担っている。一方で錐体視物質は明るいところで機能している。また最近ではガングリオン(Ganglion Cell)にも光感受性があることが明らかになってきた。

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細胞内シグナル伝達


哺乳類は物を見る際に、網膜の視細胞中に存在するロドプシンと呼ばれるタンパク質で光を受容します。ロドプシンは発色団であるレチナールと、タンパク質部分であるオプシンから構成されています。ロドプシンが光を吸収するとレチナールが異性化し、それに続いてオプシン部分が構造変化を起こすことでロドプシンが活性状態になります。活性状態のロドプシンはGタンパク質と結合し、Gタンパク質のGDP-GTP交換反応を誘起します。これにより、GTPと結合したGタンパク質はアルファサブユニットとベータおよびガンマサブユニットに分離し、このうちアルファサブユニトがリン酸エステル加水分解酵素(PDE)を活性化します。活性化されたPDEは視細胞中のcGMPを分解し、それにより視細胞中のcGMP濃度が減少します。その結果、cGMP依存的陽イオンチャネルが閉じ、視細胞全体として電気的に過分極応答をします。このようなメカニズムで、哺乳類の視覚におけるシグナル伝達系が駆動されます。

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